各社、必ずと言っていいくらいに「問題社員」と呼ばれてしまう従業員が存在します。断言しても良いくらい、必ずいます(笑)
この場合、契約途中で契約解除したい、でもどうすればいいのか分からない、という担当者やマネジメント層の方も多いと思います。
是非、下記を参考に、相互理解・円満契約解除を目指しませんか?
※あくまで、当サイトでの理解であり、実際に対応する場合は、各社顧問弁護士や社会保険労務士などの専門課にご相談ください。
契約社員(有期雇用契約)の契約途中終了は、原則として制限が厳しいですが、一定の手続きを踏めば法的に有効に契約を打ち切ることも可能です。
以下に「基本原則」と「合法的に終了させるための実務ポイント」を整理します。
🔹1.原則:契約期間途中の終了は「原則禁止」
契約社員(有期労働契約)は、労働契約法第17条で次のように定められています。
労働契約法 第17条(有期労働契約の途中解除)
使用者は、有期労働契約を期間の途中で解除することができない。
ただし、やむを得ない事由がある場合を除く。
つまり、「やむを得ない事由」がなければ契約期間満了前に終了させることはできません。
🔹2.「やむを得ない事由」とは(例)
裁判例などでは、以下のような場合に契約途中の終了(途中解雇)が認められる可能性があります。
| 区分 | 具体例 | 解説 |
|---|---|---|
| 能力・勤務態度の著しい不良 | 度重なる無断欠勤・遅刻、業務命令違反、職場秩序を乱す行為など | 指導・注意を重ねても改善が見られない場合に限定的に認められる |
| 経営上のやむを得ない事由 | 会社の倒産・部門閉鎖など | 客観的な経営悪化があり、配置転換等で対応できない場合 |
| 偽りや重大な契約違反 | 経歴詐称、重要な虚偽申告 | 信頼関係を根本的に壊すものに限る |
※「能力不足」「上司との不和」「周囲との不調和」程度では基本的に途中解約は認められません。
🔹3.途中解約が困難な場合の代替策
法的リスクを避けるためには、以下のいずれかの方法を検討します。
① 合意による「合意退職」
- 本人と協議のうえ、合意書を取り交わすことで契約を終了させる方法。
- トラブルを避けるため、「本人の自由意思による合意」であることを明確にする必要があります。
✅必要書類例:「雇用契約解除に関する合意書」「退職届」
② 契約更新しない「満了による終了」
- 現行契約は満了まで維持し、次回契約を更新しない。
- この場合は「更新しない理由」が合理的であること、かつ**30日前までに本人へ予告(通知)**することが望ましいです。
労働契約法第19条:一定条件下では、契約更新の拒否にも「雇止め法理」が適用される点に注意。
🔹4.途中解約(やむを得ない事由あり)の場合に必要な準備
以下のような証拠・手続の整備が重要です。
| 準備項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 指導記録 | 注意・指導・改善指導を行った日時・内容の記録(面談記録、メール、始末書など) |
| ② 勤務実績 | 遅刻・欠勤・職務怠慢などの客観的な記録(勤怠表、報告書など) |
| ③ 改善機会の付与 | 本人に改善を促し、チャンスを与えたことを示す証拠 |
| ④ 解雇理由書 | 終了理由を具体的・客観的に記載(後日の争いに備える) |
| ⑤ 解雇予告または予告手当 | 民法上、30日前の予告または30日分の平均賃金を支給する必要があります(契約途中終了でも原則適用)。 |
🔹5.実務的な流れ(途中終了の場合)
- 事実確認・記録整理
勤務態度や不良行為などの事実を時系列で整理 - 本人面談・改善指導
改善を促し、記録を残す - 改善がない場合、解雇予告または予告手当支給
- 解雇通知書の交付
理由を明確に記載 - 社会保険・雇用保険等の離職手続き
離職理由区分(会社都合/本人都合)に注意
🔹6.まとめ:リスクを抑える実務判断
| 判断軸 | 推奨対応 |
|---|---|
| 就業態度が悪いが重大違反ではない | 契約満了まで雇用 → 更新せず終了 |
| 重大な違反行為・信頼関係破壊がある | やむを得ない事由として途中終了を検討(証拠整備必須) |
| 本人が退職を希望・同意する | 合意退職で円満に整理 |


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